先日の76期名人戦の七番勝負、第六局を制して佐藤天彦名人が3連覇を達成。同郷の身としてはうれしい限りですが、羽生善治竜王にも勝ってほしかった気持ちもあり、非常に複雑なところです。しかし、佐藤天彦名人の安定した強さが際立った七番勝負でしたね。
しかし、このクラスの横歩取りや居飛車の力戦調の勝負は、見ていておもしろい半面、アマ初段とか、その程度のクラスだともはやソフトなしでは理解しにくいところがあります。最終盤とかにまでいけばわかるものの、中盤以降は解説聞いていてもどちらが優勢かを自分の中で咀嚼することが難しいところです。
わかりにくく、難解であるからこそおもしろなと思うと同時に、これは将棋に興味がない人にすごさはまったく伝わないんだろうなとも思い、将棋の魅力の難しさを改めて考えるところにいたった次第です。
羽生世代にもがんばってほしいですが、若手の台頭というのは、次代を育てるという意味においてとても価値があります。若い世代の棋士は、若い世代のファンを作るためにとても重要で、基本的に自分を投影できる相手のファンになりやすいという人間の特性を考えると、次の将棋ファン層を作るためには、若手、そして女性の皆さんの活躍が、将棋界では必要とされるところです。羽生世代は当然、恐ろしい貢献をしてきましたが、その後がしばらく間があいてしまっているので、そこの空白期間のファンが抜け落ちており、ファン層の高齢化が構造的な課題ともいえます。将棋普及、そして歴史をつなげていくためには若手や女性の将棋指しの皆さんにぜひ頑張ってもらいたいですね。