将棋ウォーズは将棋倶楽部24と同じ道を歩むのか?それとも?

いまやネット将棋の標準といえば「将棋ウォーズ」という感じになるくらい、安定的に利用者が多く、また知名度も抜群に高い状態になっています。

でも、数年前までは「将棋倶楽部24」が一番の地位的なものを占めていて、「将棋ウォーズ」というとなんとなく、初心者や弱い人がつかう方ですよねという、認知があったように思います。それがいまではどうなっているかというところを考えると、諸行無常を感じる今日この頃です。

そもそも将棋アプリ、ネット将棋のサービスは、将棋を打てればいいわけですから、本質的な価値に差はないわけですが、大きくゲーム性を変えたものとして棋神という、簡単に言えばチート機能が将棋ウォーズにあります。これがあったおかげで、逆にガチ将棋ファンからは、なんとなく下にみられていたわけですが、いまとなっては将棋ウォーズ側においても、高段者たちになると、あまりこの機能が使われいる感じはなく、どちらかというと、始めたばかりの人、中級者くらいまでの人の、将棋を楽しむアシスト機能的になっているように感じます。まあ、もちろん使うときはみんな使うんでしょうけど、何度か改修が加えられるなかで、棋神が前ほどの強さでなくなったことなんかも、こういう良いバランスを生んでいる気もするので、そこは運営者の皆さんの努力のたまものですね。すばらしいです。

将棋倶楽部24が、なんとなく高齢化が進み、なんとなく将棋好きを通り越して将棋フリークのみが使うプラットフォームとなった今、一般的な段位との差が大きくなりすぎて、初心者門戸を閉ざす結果となってしまったわけですが、これにより維持が基本で成長は難しい状態にあるように思われます。この状態は常に新しい人たちが入ってくることと、全体がちゃんと能力分布としてピラミッドになっていないとどこでも起こる現象なわけですが、将棋の場合、どうしても競技人口が少ないので、それが難しく、残念な結果になりがちです。そういった過去の先輩たちの問題を、将棋ウォーズは切り抜けることができるのかというのが、これからの注目ですが、やはりそこはAI、ボットくんたちがいい仕事をしているので、将棋ウォーズには末永く、将棋普及のプラットフォームとして機能してもらいたいところです。同じレベルの人がいないなら、ロボットで作っちゃえというわけですね。これ、競技人口が少ないプラットフォームを運営する中で本当に大切です。

今後、将棋ウォーズがどうなっていくのか、そういった目線でも注目したいですね。

将棋ウォーズと将棋倶楽部24における強さの比較を気にする人が多いことでみえてくる、将棋が普及しない根本的な原因となる構造的課題

近年、ネット将棋というと将棋ウォーズがNO1の地位についた感がありますが、不思議なもので将棋倶楽部24こそが本物の将棋指しが集まる本丸であるというような意見、風潮がけっこうあります。そして、決まって多くの人が気にするのが、それぞれの段位・級位の実力差、比較ですね。将棋倶楽部24の10級ってどれくらいの強さなのか、であったり、将棋ウォーズ初段ってどれくらいだろうかといった具合に、とにかく強さの比較がみんな大好きです。みんなやはり、きっと強くなりたいという気持ちが根底にあり、自分が強いのか、強くなれているのか、そういうことに不安があって気にしてしまうんだと思うのですが、それは高みを目指し続けることを目標にしているものとしてはすばらしいことです。ただ、ここで考えなければならないのが「どちらが楽しいか」といった議論がでてこないことです。

野球もサッカーも趣味として楽しんでいる人はたくさんいます。ピアノもそうですし、料理なんかも趣味という人たちはたくさんいて、そのアマチュアの競技人口は将棋のそれを大きく上回ります。こうしたすそ野が広いものの共通点は、「強い」というところを求めて努力をする人もいる一方で、多くは「楽しい」というものを求めている人たちだということです。

プライベートで、趣味としてたのしんでやっているフットサルで、鬼コーチのような人間がいて「やる気あるのか。へたすぎる。練習しろ。しかも毎日」なんていわれた日には、次の日からほとんどの人は参加しないですよね。努力は人生において大事ですが、趣味の世界でそれを強要されると、ほとんどの人は、楽しいものではなくなってしまいます。人生を楽しいものにするための趣味なんですから、それが達成できないなら辞めていくのは当然のことです。

練習しなくてもたまに参加するだけで楽しい。アマチュアリーグに参加して勝ち上がっていくことを目標にしている人もいるけれど、そういう人たちは少数派。これがとても重要なわけです。強さを探求する人が少数派、たのしさを求める人が多数派、これが競技人口が多い種目い共通点のひとつです。

将棋倶楽部24、将棋ウォーズ、同じネット将棋のサービスなのに、不思議とゲーム性が違うところを感じるあたり、面白さの種類が違う気がします。どちらが強いか、それぞれの強さの基準はどれくらいか、といった強さ偏重ではなく、もう少し、努力しない人たちでもおもしろいと思える何かが議論されはじめると、大きく広がる気がします。ただ、そうなると既存のファン層は不満を持つかもしれませんから、すべての人が満足するバランスというのはなかなか難しいですね。

コンピューターが強くなってもプロ棋士の存在価値はゆるがない。本当の脅威は強いアマチュアの将棋指し

電王戦で盛り上がった人間VSコンピューターという構図は、AIの進化によってある程度、終着点が見えてきて、まあやっぱりコンピューターって強いですねというところが結論になってきた感があります。ただ、一時期騒がれた話のひとつに「AIが強くなったらプロ棋士は存在価値がなくなるんじゃないか」という論争については、いまだに話は続ているところがありますが、コンピューターの進化はプロ棋士の存在を脅かすものでは決してない、というのが個人的に思うところです。

たとえばオリンピックではフルマラソンの試合が行われていますが、自動車のほうが早いんだから、オリンピックのマラソン選手には価値なんてないという人はいません。そもそも、人と人の戦いを通して、懸命に努力する姿を見て楽しみ、勝ってくれたらもっとうれしい、というのがこの手の観戦者の心理です。仮に、オリンピックの試合に、世界最速の自動車が出場し、他の選手たちを圧倒して勝ったとします。その時、その自動車を運転している人は称賛を受けられるでしょうか。たとえば、自動車が登場したばかりの頃であれば、馬車との競争でどちらが早いのかというレースには、多くの人は興味を持ったかもしれません。それは黎明期の自動車が遅いものであり、馬車の方が早いと思っていた人が多かったためです。しかし、自動車というものが進化し、自動車は早いのが当たり前と多くの人が知った後はどうでしょうか。馬と自動車が戦うなんて、そもそもその試合がおかしいとなるでしょう。馬がかわいそう、自動車に乗っている人は卑怯などという論調すら、でてくるのではないでしょうか。

まず、コンピューターと人が戦えば、コンピュータは勝ちます。最終的にはそうなるのは必然です。しかし、それが当たり前になった時、この両者を対戦させようとすること自体に興味を持つものはいなくなり、それを実施したところで誰も盛り上がることはないはずです。黎明期にある”どういう結果がでるかわからない”という状況の一瞬だけ、成立する魅力といえます。

プロというのは、見る人たちが存在し、その人たちがそれを続けてほしいと応援することで、存在が成立します。応援は資金に代わり、プロが生きていくために、そしてその活動に専念するための環境となっていくわけです。ただ強いだけで、プロとして成立するわけでは決してありません。プロの人のひたむきな活動、努力する姿を見て、自分を含めた人間の可能性を感じたいから、つい観戦してしまうのです。ただ、強いというだけでコンピューターがプロ棋士の存在を脅かすものになるというのは、構造的に考えていけばありえないことです。

しかし、一方で昨今、急速に平均値が上がってきている、プロに近い実力を持つ人間。高いレベルのアマチュア将棋指しの人たちの存在は、コンピューターのそれとは違い、明らかにプロ棋士の皆さんにとっては脅威です。プロとして将棋に専念しているわけでもないのに、より効率的に研究、努力をして、アマチュアの人がプロ棋士たちを破り始めたら、その時はプロとしての存在価値はなくなっていくに違いありません。将棋という点から考えると、最後の敵は、最終的に同じ人間であり、コンピューターはそもそも敵ではありません。

将棋倶楽部24はたしかに将棋的な面白みをたくさん味わえるけど、将棋を普及させるためには将棋ウォーズの仕様が正解なんじゃないかという話

将棋をやっていると「棋力は?」という質問を多くの人が受けると思います。よくある答えが「●●道場では初段で将棋倶楽部24だと11級です。ちなみに将棋ウォーズだと2段です」みたいな感じだったりするわけですが、これ将棋をやっていない人からするとはてなマークが大量に頭をよぎるみたいです。これは以前から将棋好きの人たちの間で悩ましい問題とされていることなわけですが、棋力の基準は基本的に相対的に決まっていくということが原因となっています。

将棋倶楽部24だと10級前後で、相当な強さの人がたくさんいます。もう世の中全体を平均としたときの数値とかけ離れすぎていて、参考にできないレベルな気がします。これは将棋倶楽部24がスタートする時に、棋力を自己申告させる仕様が問題を起こしているわけですが、上級者になればなるほど本当に強い人を知っているので「自分なんてまだまだ初心者」といったことを考えがちで、初心者レベルに初段者くらいの人がたくさんいることが問題を作っていたりします。

将棋ウォーズなどのように自己申告が一切なく、システムが相手を決めて、結果から決めていく方法だとこのような問題は解消されやすいわけです。さらに、将棋ウォーズだと同レベルの人がいないと自動的に似たレベルのコンピューターと対戦するという仕様があるおかけでて、初心者でも楽しさを味わうことができるようになっていて、長年本気でやっている人だけしか楽しめないという、将棋人口を増やすための足かせを解決できるのは非常にうれしい限りです。

ただ、将棋ウォーズの難点は、将棋倶楽部24と比べるとなぜか将棋的な深みのある手を指す人が比較すると少ないところでしょうか。なんというか、こう時間攻略みたいなところで勝負する人が、微妙なレベルの人とかだとすごく多いですよね。それもまた将棋といえば将棋なんですけど、難しいところです。

どちらが正解ということはないと思うんですが、普及させる活動ってすごく大切だと思うので本当の初心者にもやさしい、楽しさを味わえる仕様をもっと考えていってほしいなと思う次第です。そういった意味では将棋ウォーズはすごいですよね。実際、現在の利用者数みたいなのがどちらも表示されますが、ピーク時とかって将棋倶楽部24のほうがすごい少ないですからね。もちろん登録の手間とかの敷居の高さとかがあるので、簡単に比較はできないですが、それにしても利用者の差があるのは事実で、それが何を意味しているのかは、将棋が好きな人を増やすためには本気で考えていかなきゃいけないんじゃないかと思う次第です。

ITエンジニアの将棋好きたちが集まっても「将棋ソフトを開発したい!」とはならない不思議

BMJは事業の特性上、ほとんどのスタッフが開発ができます。いわゆるエンジニアという人間が非常に多い会社なんですが、その上、ほとんどのスタッフが将棋好きだと、必ず定期的に質問をされるのが将棋ソフトについての話。

ITエンジニアが多い+将棋好きが多いということを知っている方たちからは、必ず「将棋ソフトって作ってたりするんですか?」と聞かれたりするわけですが、答えはNOです。

ある人は、仕事でシステムの開発をやっていると、ひとつのものを本気で使えるレベルに仕上げようとすると、楽しいことだけじゃないのは痛いほどわかっているから、趣味の世界と仕事をつなげたくないといいます。

ある人は、将棋は人対人がたのしいのであって、人対システムだと、自動車と人が100メートル走を競争するようなもので、なんかそもそも違う気がする。将棋はどこまでいっても人対人を前提にしたいから、そっち側には真剣に取り組めそうにないといいます。

いろんな理由があるけれど、将棋好きが多いし、みんなシステム開発はできるけれど、不思議と「将棋ソフトの開発をやってみよう」という話にはまったくなりません。でも、みんな叡王戦の予選の結果には興味津々だったりします。今回は大御所の先生たちが順当に勝ち上がる結果になって、この先も毎試合たのしみですね。