王座戦で中村太地王座が斎藤慎太郎七段に勝って1勝2敗で4局目へ

中村太地王座の初のタイトル防衛がかかる斎藤慎太郎七段との今回の王座戦。第三局は中村太地王座が勝って1勝2敗となり4局目へとすすみました。斎藤慎太郎七段にとっては初タイトルがかかる一局だっただけに残念な結果ではありましたが、中村太地王座にとっては初防衛へ向けたうれしい結果。どちらの見方で考えても将棋というのは悩ましいところがありますが、好局を追加でみれると考えると4局目、そして最終局へと進むのは将棋ファンとしてはうれしいところです。

それにしても今回の第3局はすごかったですね。力戦調で本当に激戦で見ている将棋ファンの多くは手に汗握っていたんじゃないでしょうか。プロの力戦は本当に見ていてわくわくしますね。次局もお二人の熱戦、楽しみですね。

今年の王座戦は中村太地王座に斎藤慎太郎七段の対局。華やかさは将棋そのものには関係ないけれど、将棋界全体でみたら大切だと思う話

将棋の秋が近づき対局も充実してきましたね。今年の王座戦は中村太地王座に斎藤慎太郎七段が挑戦するという、若手の華やかな雰囲気が注目を集めていましたが、第一局は斎藤慎太郎七段の勝利となりましたね。今後の残りの対局がとても楽しみです。防衛もしてほしいし、初タイトル獲得もしてほしい、将棋ファンって好きな棋士がひとりじゃないので、こういう時に悩ましいですね。

しかし、中継では都成竜馬五段も解説で登場されたということで、みんなわかっていますよね的な、暗黙知の共有的な何かがあっていいですね。

将棋そのものもとても面白いものですが、残念なのは直感的にそれは伝えにくいものであるということ。だからこそ、雰囲気、見た目、儀式的といった、本質からすればどうでもいいようなことも、しっかりやっていくことが重要なんだなと思わけで、そういった意味でも、もっと注目が集まってほしいのが、今年の王座戦です。中村太地王座、斎藤慎太郎七段、お二人ともがんばってほしいですね。

将棋ウォーズは将棋倶楽部24と同じ道を歩むのか?それとも?

いまやネット将棋の標準といえば「将棋ウォーズ」という感じになるくらい、安定的に利用者が多く、また知名度も抜群に高い状態になっています。

でも、数年前までは「将棋倶楽部24」が一番の地位的なものを占めていて、「将棋ウォーズ」というとなんとなく、初心者や弱い人がつかう方ですよねという、認知があったように思います。それがいまではどうなっているかというところを考えると、諸行無常を感じる今日この頃です。

そもそも将棋アプリ、ネット将棋のサービスは、将棋を打てればいいわけですから、本質的な価値に差はないわけですが、大きくゲーム性を変えたものとして棋神という、簡単に言えばチート機能が将棋ウォーズにあります。これがあったおかげで、逆にガチ将棋ファンからは、なんとなく下にみられていたわけですが、いまとなっては将棋ウォーズ側においても、高段者たちになると、あまりこの機能が使われいる感じはなく、どちらかというと、始めたばかりの人、中級者くらいまでの人の、将棋を楽しむアシスト機能的になっているように感じます。まあ、もちろん使うときはみんな使うんでしょうけど、何度か改修が加えられるなかで、棋神が前ほどの強さでなくなったことなんかも、こういう良いバランスを生んでいる気もするので、そこは運営者の皆さんの努力のたまものですね。すばらしいです。

将棋倶楽部24が、なんとなく高齢化が進み、なんとなく将棋好きを通り越して将棋フリークのみが使うプラットフォームとなった今、一般的な段位との差が大きくなりすぎて、初心者門戸を閉ざす結果となってしまったわけですが、これにより維持が基本で成長は難しい状態にあるように思われます。この状態は常に新しい人たちが入ってくることと、全体がちゃんと能力分布としてピラミッドになっていないとどこでも起こる現象なわけですが、将棋の場合、どうしても競技人口が少ないので、それが難しく、残念な結果になりがちです。そういった過去の先輩たちの問題を、将棋ウォーズは切り抜けることができるのかというのが、これからの注目ですが、やはりそこはAI、ボットくんたちがいい仕事をしているので、将棋ウォーズには末永く、将棋普及のプラットフォームとして機能してもらいたいところです。同じレベルの人がいないなら、ロボットで作っちゃえというわけですね。これ、競技人口が少ないプラットフォームを運営する中で本当に大切です。

今後、将棋ウォーズがどうなっていくのか、そういった目線でも注目したいですね。

豊島将之棋聖が誕生!初タイトル獲得でついにタイトル保持者の仲間入り

豊島将之八段がついにやりましたね。やっと、本当にやっと棋聖戦のタイトルを獲得して、ついにタイトル保持者の仲間入りを果たしましたね。これだけすごい成績を残していて、これだけタイトル戦の挑戦権を獲得して、挑み続けて、何度も跳ね返され続けての初タイトル獲得は、ファンも思うところがありますね。成績をみて、タイトルをもっていない、獲得したことがないというのがおかしい、棋界の七不思議のひとつでしたからね。本当に喜ばしいことです。おめでとうございます。

その一方で羽生善治竜王がタイトル通算100期がかかっていたこともありますし、そして簡単にいえば応援しない人がいないわけがないという人であることもあり、誰が喜ぶ一方で、悲しむ人が必ず出てしまうところが難しいところです。

豊島将之棋聖、羽生善治竜王、ともに大好きという人も多いと思うので、こういう好きな人同士の戦いというのはどちらが勝っても素直に喜びきれないというのがつらいところですね。

「将棋ってたかがボードゲームでしょ」といわれた時に「そうですね。オリンピックの100メートル決勝も、たかが”かけっこ”ですけどね」と答えた時に考えさせられること

将棋が好きな人は将棋に対してポジティブです。それに対して嫌い人は「たかが将棋」という論調になります。たかがボードゲームにという話は、まさにその通りでボードゲームの一種でしかなく、特別なものでは決してないわけです。ただ、ここで考えなければならないのは、その”たかが”というものこそが、人間が人間として成立するために重要なものであるということです。

先日も「将棋ってたかがボードゲームですよね」といわれた時に「そうですね。オリンピックの100メートル決勝も、たかが”かけっこ”ですけどね」と答えたことがあったわけですが、世界に存在する、人間が作り出したもののほとんどは”たかが”と呼ばれるようなものばかりです。サッカーはたかがボール蹴り、ピアノはたかが楽器、絵画はたかがお絵かきですし、オリンピックにでる人たちはたかが運動をしているだけです。

人間は自分が好きなものを崇高なものして、間接的に自分を崇高なものを支援している崇高な生き物にしがちです。常に自分が好きなものは素晴らしいものであると考え、逆に自分が理解できないものは、下にあるものというスタンスでとらえがちです。しかし、突き詰めていけば、どれもなければ世界が滅ぶのかといえば、そんなことはなく、世界は何も変わりません。大事なのはそれがあることで、人生を豊かなものと感じる人が生まれるという、ただその1点です。

人間が生きていくために必要なものというのは、冷静に考えるとそれほど多くはありません。でも、それだけでは人生がもったいない。ただ、起きて、労働をし、食べて、寝る。これを繰り返すことが人生のすべてというのは、あまりにももったいない。豊かな人生を歩むために、もっとこれを経験したいと思える何かと出会い、それを堪能する時間こそが価値であり、将棋を含め、たかがと呼ばれるすべては、それ自体にそれほど意味があるものではありません。

経済学的な観点からいえば、休暇は生産性を取り戻すための仕事ともいえるわけで、しっかりリフレッシュすることが重要です。そういった意味では、完全に生産性を取り戻せるような休暇の過ごし方のひとつとして、自分に合ったものが見つかれば、それは自分の人生にとっても、社会にとっても良いことであるはずです。

自分なものだけ崇高にし、理解できないものは下にみる。そう考えてしまうと対立を生むだけで何も得なことはありません。みんな好きなものと出会えてよかったね、それをやっていて幸せなら、それでいいじゃないか、だって、それでまた明日から頑張れるんだからというのが、適切な考え方なんじゃないかと思った次第です。

みんな自分が本当に好きになれるものに出会えるといいですね。もちろん将棋はおすすめですけど。

藤井聡太七段が竜王戦決勝トーナメント1回戦で都成竜馬五段に勝利。安定感がすごいことになってきてますね

どんな対局も注目されるというすごいことになってきてきる藤井聡太七段が、竜王戦決勝トーナメントの初戦で都成竜馬五段と対局。見事に藤井聡太七段が勝ち切って2回戦に進出。もちろん前からすごいわけですが、それにしても最近の藤井聡太七段の安定感はすごいことになってきてますね。今年はまだタイトル戦の挑戦の可能性は3つ残ってますから、ひょっとしたらひょっとするかもというのを周囲に感じさせることができるというのは、注目が継続するという意味で非常に良いですね。

都成竜馬五段も相当に強かったと思うんですが、もう受けきりというか、素人目にみてももうすごい状態で、最終版は都成さんのメンタルを心配したファンの方も多いのではないでしょうか。都成竜馬五段も昨年度で順位戦で昇級を決めて、乗っているだけに、また他の対局でもがんばっていただきたいですね。

佐藤天彦名人が76期名人戦を制して3連覇

先日の76期名人戦の七番勝負、第六局を制して佐藤天彦名人が3連覇を達成。同郷の身としてはうれしい限りですが、羽生善治竜王にも勝ってほしかった気持ちもあり、非常に複雑なところです。しかし、佐藤天彦名人の安定した強さが際立った七番勝負でしたね。
しかし、このクラスの横歩取りや居飛車の力戦調の勝負は、見ていておもしろい半面、アマ初段とか、その程度のクラスだともはやソフトなしでは理解しにくいところがあります。最終盤とかにまでいけばわかるものの、中盤以降は解説聞いていてもどちらが優勢かを自分の中で咀嚼することが難しいところです。

わかりにくく、難解であるからこそおもしろなと思うと同時に、これは将棋に興味がない人にすごさはまったく伝わないんだろうなとも思い、将棋の魅力の難しさを改めて考えるところにいたった次第です。

羽生世代にもがんばってほしいですが、若手の台頭というのは、次代を育てるという意味においてとても価値があります。若い世代の棋士は、若い世代のファンを作るためにとても重要で、基本的に自分を投影できる相手のファンになりやすいという人間の特性を考えると、次の将棋ファン層を作るためには、若手、そして女性の皆さんの活躍が、将棋界では必要とされるところです。羽生世代は当然、恐ろしい貢献をしてきましたが、その後がしばらく間があいてしまっているので、そこの空白期間のファンが抜け落ちており、ファン層の高齢化が構造的な課題ともいえます。将棋普及、そして歴史をつなげていくためには若手や女性の将棋指しの皆さんにぜひ頑張ってもらいたいですね。

西山朋佳三段が初タイトルとなる女王を獲得。この勢いを活かして初の女性プロ棋士へ突き進んでもらいたいですね

奨励会の三段リーグでがんばっている西山朋佳三段が女流の棋戦であるマイナビ女子オープンで加藤桃子女王を破って初タイトルを獲得。三段リーグでも勝ち星先行の好位置につけているだけに、この流れで勢いをつけてぜひがんばってほしいですね。女性初のプロ棋士の誕生は、いろんな人の悲願でもあり、里見香奈さんが奨励会を退会した今年は、これまで以上に西山朋佳三段にみんなの思いが集中してくることになります。それがプレッシャーとなってしまうのはみんなの望むところではないはずですが、やっぱりどうしても期待をせずにはいられません。

加藤桃子女王も永世女王の獲得がかかっていただけに、悔やまれる敗戦で、どちらも応援しているファンからすると非常につらい勝負でした。それにしても、称号とされている「女王」って、少し呼ぶのが恥ずかしい気がするので、もうちょっと呼びやすい称号だったらよかったのになと思う次第です。

ついに増田康宏六段に!20歳で六段ってけっこうすごいことなのに藤井聡太七段がいることで霞んでしまうというのが恐ろしい

次代を担うであろうといわれて久しいプロ棋士のひとり、増田康宏五段がついに六段に昇段。非常にめでたいですね。まだ20歳ですからすごいスピードです。でも、つい先日、さらに圧倒的な若さで七段に到達した人がいることで、記録的に霞んでしまうのはなんとも恐ろしいことです。藤井聡太七段、まだ言いなれないですが、あっという間の七段到達。しかも八段への昇段基準も変更されることが検討されているようですし、最年少八段も時間の問題かもしれません。

羽生世代もそうですが、同世代で意識しあって高まったいく、突出した存在によって引っ張られていった結果、異常に強い層の厚い世代っていうのは、どんな競技にも存在します。増田康宏六段にもその一翼を担ってもらえるような存在になってくれることを期待したいですね。最近、発言がおとなしめになってきているのは、ファンとしては少しさみしいところですが。

永瀬拓矢七段のバナナや大橋貴洸四段のファッションといったような「こだわり」があると将棋に興味がない人に説明しやすくてプロとしてのあるべき姿を考えさせられたという話

将棋のプロといえば、将棋が強いというのはみんなの想像通りですが、それがどれくらいなのかといわれると、将棋好きな一部の人を除けばほとんどの人がわからないはずです。そもそも将棋が好きな人でも、中級者以上にいかないとプロの指し手の意味や価値も、最終盤とかにならなかいぎり、理解できなかったりするわけで、そういった意味で将棋のプロの価値を興味がない人にも説明する材料というのはなかなかなかったりします。

しかも、強さという点でいえば電王戦の影響などもあり「コンピューターのほうが強いんでしょ?」というようなリアクションがでてくることもあり、強さだけでプロの価値を説明しにくい難しい局面に出くわすこともしばしばです。

そんな中で最近、永瀬拓矢七段のバナナをとにかく食べるというシンプルだけでインパクトがある行動、大橋貴洸四段のだれが見て普通じゃないと思えるいかしたファッションは、「普通じゃない」というのを多くの人に説明できる点において、将棋には関係ないかもしれないけれど”プロ”だなと思える要素になっていてがんばってほしいなと思ったという話です。

「対局中、朝も昼も夜もバナナたべるんだよ」というと将棋に関係なく話題になります。普通の人たちにまざっていかしたファッションをした人が映った写真を誰かに見せた時に「誰がプロだと思う?」といえば、きっと見つけてもらえるうえに将棋でなぜこのファッションなのかと話題になります。強さもいいけど、やっぱり話題性、話のタネになるものをもっている人は、みんなにそれ自体で良くも悪くも注目を浴びるわけで、賛否両論が巻き起こると思いますが、そこも含めて「話題にされている時点でプロとして勝ち」とおも思えるわけです。

普通のみため、普通の生活、普通の発言、すべて普通な人というのは害がないんですが、逆に言えば記憶に残らない、どうでもいい人ともいえます。人格的な面でひとクセあるような人は当然いるとしても、それはしゃべって、長く付き合わないとわからないし、そもそも不快な人とはつきあいたくない人というのは多いはずなので、人格面はまじめ、ふつう、謙虚というあたりがいいんだと思います。あんなにまじめなのに、なぜこのファッションなの?話は普通なのに食事をみていると普通じゃないのかな?という、だれも傷つけないあたり、永瀬拓矢七段のバナナや大橋貴洸四段のファッション、将棋界において非常に良い試みにみえます。

プロって強いことは大事ですけど、強いだけならソフトでいいわけで、こういった話題があることも、もっと評価の対象になってくると良いですね。