もしも将棋が今どきのカードゲームだったら。

将棋っておもしろい。率直にそう思うのですが、残念ながらポケモンカードや遊戯王といったカードゲームなどと比べると(お金を落とすような)ファンは少なく、儲かっていないのが現状です。

逆に言えば、今どきのカードゲーム的な発想で展開をしていったら、すごく儲かってしまって、さらにファンも増えていくのではという逆転の発想で考えてみるのもおもしろいのではという妄想です。

まず最近のカードゲームの特徴としては、以下のようなことがあります。

  1. 買った時にどんなカードが手に入るかはわからない(開けるまでどきどき)
  2. 毎月のように新しい能力カードが登場して、新しい戦略を練る必要がある(強い人が固定化しにくい)
  3. 勝つためには最新の強いカードを手にする必要があり、毎月新しいものを購入する動機づけがある(投資が継続)
  4. カードの絵柄が素敵でコレクション性がある(ライト層もお金を使う)

ざっと考えてみると、こんな感じな特徴があるわけで、つまり、みんなが欲しいと思う強い、新キャラを継続的に登場させて、それを欲しければ、たくさん買ってね、ということです。これを将棋に当てはめて考えてみると、さて、どうなっていくでしょうか。

まず、大会ごとに新しいコマが発売されて、未知な動き、能力を持つことになります。勝ちたいなら、まず買いなさい、となるわけですね。レギュレーションによって、この大会では、このシリーズの駒以外使えません、といったこともでてくるかもしれません。

新発売の玉として使える「右辺ダッシュ玉」は右に3つまで一度に進めるんだぜ、といったことも考えられます。飛車として使える「軍師飛車」であれば、龍になると、盤上の歩がすべて、と金に代わるといったこともあるかもしれません。そんなチートな駒を防ぐために、銀として使える「身代わり銀」なるものがあり、2枚の銀を相手の駒台に置くことで、盤上にある相手の駒をひとつ、対局終了まで使えない状態にするかもしれません。

勝ちたいなら、それはもう手にしないわけにはいかないわけで、狙いの駒がでるまで、たくさん買わざるを得ないですね。

さらに、こうした新キャラを使いこなすために、毎月のように新戦法が登場することになるのでしょう。新戦法を紹介するYoutuberな棋士も増えるかもしれませんし、子どもたちがこぞって見るかもしれません。

もちろん常軌を逸した話ではありますが、それでも「現代のカードゲームだったら」を考えると、将棋がどうして儲からないのかが少しだけ見えてきます。今の主流は”努力だけで勝つ”のではなく、”お金と時間を使えば誰でもある程度は楽しめる”ようにすることに重きを置いているわけです。それこそ、ゲームやらなくても、絵を見ているだけうれしい、コレクションだけで価値がある、なんていうのはその最たるものです。

今の将棋の魅力をちゃんと残しつつ、それでいて関わる人たちが増えていくビジネス圏を広げていける方法が見つかるといいですね。